2013/11/02 17:14:55

11月号 認知症について



65歳以上の高齢者では7人に1人が認知症を患っています.また軽度認知障害まで含めると4人に1人が当てはまるといわれています.他人ごとではない認知症について今回はお話します.


■認知症の症状

認知症の症状は中核症状と行動・心理症状に分けられます.中核症状は脳細胞の死によ直接の症状で,さっき聞いたことが思い出せないなどの記憶障害,時間や季節,場所などが分からないなどの見当識障害,必要のない高額商品を買う,自動販売機の前でまごつくなどの理解・判断力の障害,何度も同じものを買ってくる,料理を段取りよく作れないなどの実行機能障害があります.

行動・心理症状は,上記の中核症状によるさまざまな困難に,本人の性格,環境,身体状況が加わって起こる症状で不安・焦燥,うつ状態,幻覚・妄想,徘徊などがあり,むしろこちらが周囲をより困惑させることが多いです.


■認知症は予防と早期発見が重要

脳血管障害性認知症はもちろんのこと,アルツハイマー型認知症においても,生活習慣病である高血圧・糖尿病・脂質異常症が発症原因のひとつとされています.

生活習慣病の発症予防および良好なコントロールのために,主食(ごはん・パン・麺など),主菜(肉・魚・大豆・卵など),副菜((野菜・海藻・きのこなど),果物,乳製品,油脂とバランスの良い食事を心がけましょう.素材を生かしダシを効かせ薄味に慣れましょう.また,週三回以上程度,一日で合計三〇分以上の少し息が切れる程度の歩行やラジオ体操など体を動かす習慣をつけましょう.

症状がまだ軽いうちに認知症であることに本人や家族など周囲が気づき,適切な治療を受ければ,薬で認知症の進行を遅らせたり,場合によっては症状を改善したりすることもできます.


■「認知症」の人のために家族が出来る10ヵ条

 最後に,公益社団法人認知症の人と家族の会ホームページより「認知症」の人のために家族が出来る10ヵ条を引用して掲載いたします.

1.見逃すな「あれ,何かおかしい?」は,大事なサイン.
2.早めに受診を.治る認知症もある.
3.知は力.認知症の正しい知識を身につけよう.
4.介護保険など,サービスを積極的に利用しよう.
5.サービスの質を見分ける目を持とう.
6.経験者は知恵の宝庫.いつでも気軽に相談を.
7.今できることを知り,それを大切に.
8.恥じず,隠さず,ネットワークを広げよう.
9.自分も大切に,介護以外の時間を持とう.
10.往年のその人らしい日々を. 

■この記事の配信元:久喜医院