2013/12/02 12:02:29

12月号 高尿酸血症について



■痛風発作さえ起こさなければ良いの

高尿酸血症の代表的な症状は痛風発作,起こしたことがある人ならその激しい痛みをきっと覚えているでしょう.では痛くなければ治療しなくてもよいのでしょうか.

尿酸値と内臓脂肪は密接な関係にあります.メタボリックシンドロームは,内臓脂肪を反映するとされる(へその高さの)腹囲が,男性で85cm,女性で90cmを超えることに加えて,血糖が高いか脂質異常(中性脂肪が高いまたはHDLコレステロールが低い)か高血圧かのうち二つにあてはまることによって診断されます.

メタボリックシンドロームにあてはまる人は生活習慣病である糖尿病や脂質異常症,高血圧症などを合併することが多く,動脈硬化が進み,脳梗塞や心筋梗塞を起こす危険が高くなります.尿酸値が高くなるとメタボリックシンドロームに該当する割合が増え,逆に,メタボリックシンドロームの項目に多く当てはまる人は尿酸値が高くなります. 尿酸値が高い人は突然死が多いとされています.


■薬による治療が必要な高尿酸血症

I.痛風発作を起こしたことがある,または痛風結節のある方
II.尿酸値が8.0以上で合併症(腎障害,尿路結石,高血圧,狭心症や心筋梗塞,糖尿病,メタボリックシンドロームなど)のある方
III.尿酸値が9.0以上の方,は薬による治療の対象です.

尿酸値を急に下げると,それまでに関節に溜まっていた尿酸結晶が溶け出して,痛風発作を起こすことがあります.尿酸値は焦らずにゆっくり確実に下げましょう.生活習慣が改善されていないのに尿酸値が下がったからといって薬を自己判断で止めてしまうと,また尿酸値が上がってしまいます.

 痛風発作が起こっている時には尿酸値を下げる治療は,新たには,できません.すでに尿酸を下げる薬を飲んでいる場合は原則そのまま続けます.発作がおさまって2週間以上経ったら次の発作や合併症を防ぐためにしっかり治療をおこないます.


■尿酸値をコントロールするために日常生活でできること

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・摂取カロリーを抑えて肥満を解消する
・プリン体を多く含む食品(レバー,干物,鰹など)は控える
・尿をアルカリ化する海藻や野菜,果物を多く摂る
・ビールはもちろん他のアルコールも控える,つまみを工夫する
・水分を充分に補給する(アルコールやジュースは除く)
・適度な有酸素運動を行う、またストレスを溜め込まない
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 今年もお世話になりました
 来年もよろしくお願いいたします

■この記事の配信元:久喜医院