2014/05/09 12:20:31

5月号 定期検査・健康診断の勧め



毎回診察を受けているのだから何か異常があってもすぐに発見されるだろうと思っていませんか.もちろん症状や診察所見により,異常を早期発見して治療できることも多いのですが,病気の中には早期には症状がほとんどなく通常の診察のみでは発見が困難なものも多くあります.


■癌を早期発見するために

代表的な病気が癌です.早期発見のためにはまったく症状がなくても定期的な健康診断が必要です.肺癌に対する胸部レントゲン・CT・喀痰細胞診検査,大腸癌に対する便潜血・注腸造影・下部消化管内視鏡検査,胃癌に対する上部消化管造影や内視鏡検査,肝臓癌や胆道・膵臓癌に対する腹部超音波や腹部CT・MRI検査などが相当し,主に人間ドックなどで行われています.


■生活習慣病を早期発見するために

生活習慣病の早期発見のために行われているのが特定健診,血液検査や尿検査などにより,高血圧・脂質異常症・糖尿病・肝機能障害・腎機能障害などを早期発見し,その後に食事・運動療法や薬物治療を行うことにより,将来の心筋梗塞や脳梗塞・認知症など生活の質を大きく低下させたり命を失ったりすることになる疾患の発症を減らすことができます.


■定期的に通院している人に

保険診療では現在治療している病気に関連する,あるいは症状や診察から疑われる病気についてのみ検査が可能です.

薬を飲んでいる人は、薬の効果や副作用,病気や合併症の状態を知るために,半年に一度は血液検査や尿検査を受けましょう.

高血圧症・糖尿病・脂質異常症などで治療中の人は、心疾患を早期に発見するために,半年に一度は胸のレントゲンや心電図もとりましょう.

胃潰瘍・慢性胃炎・逆流性食道炎の人は最低でも年に一度は上部消化管内視鏡検査が必要,ピロリ菌の除菌をした後は例え除菌に成功した場合でも同様です.

慢性の肝障害があれば定期的な血液検査と腹部エコー検査が必要で,経過でCT・MRIや上部消化管内視鏡検査なども必要となります.

検査の項目は非常に多く,疾患により必要な項目が異なります.健康診断や他の医療機関で検査を受けていても検査の追加が必要な場合があり,検査結果が重要な手がかりとなることもあります.せっかく受けた検査結果を生かすために,受診時に結果を持参してください.


■この記事の配信元:久喜医院