2014/08/02 16:01:41

8月号 糖尿病の飲み薬について



糖尿病治療の基本は,一に食事,二に運動ですが,それだけではなかなか改善しないのが現実です.今回は次の一手として使われる糖尿病の主な飲み薬のお話です.


■DPP4阻害薬(商品名:ジャヌビア,エクア,オングリザなど)

小腸から分泌されるインクレチンというホルモンは,血糖が高い時にはインスリンの分泌をうながし,血糖が下がりすぎるとグルカゴンの分泌を促して,血糖を正常に保つ働きをしています.インクレチンはDPP4ですぐに分解されてしまいます.このDPP4の働きを抑えることによりインクレチンを増やし血糖を改善するのがDPP4阻害薬です.単独では,低血糖を起こしにくく, 体重増加もありません.


■スルフォニル尿素薬(商品名:アマリールなど)

膵臓を刺激して,長時間インスリン分泌をうながし続け,強力に血糖値を下げます.低血糖の危険が多い,刺激し続けられた膵臓が疲れて長期的にはインスリンの分泌が悪くなる,インスリンの作用で体重が増えるという欠点があります.使わないと血糖が下がらない人が多いため,DPP4阻害薬など他の薬と併用して,少量を効果的に使うのがコツとされています.


■ビグアナイド薬(商品名:メトグルコ)

肝臓で糖をつくる働きを抑え,筋肉などでのブドウ糖の利用をうながし,血糖値を下げます.肥満傾向で,インスリンは出ているのに効きが悪い,インスリン抵抗性の患者さんに有効です.乳酸アシドーシスなど重篤な副作用に注意が必要です.


■アルファ- グルコシダーゼ阻害薬(商品名:ベイスンなど)

小腸におけるブドウ糖の分解や吸収を遅らせて,食後の急激な血糖値の上昇を抑えます.食事の直前に飲みます.低血糖は稀ですが,必ず,ショ糖でなくブドウ糖で対応します.食前の血糖は良好なのに食後の血糖が高い方に効果的です.


■チアゾリジン薬(商品名:アクトス)

筋肉や脂肪組織における糖の取り込みや糖の利用を促し,肝臓における糖の放出を促して,インスリンの効きを良くして(インスリン抵抗性の改善),血糖を下げます.むくみや体重増加がみられる人がいることに注意が必要です.稀に膀胱癌が発生することがあるといわれているので定期的な尿の潜血検査を行います.


■SGLT2阻害薬

腎臓における糖の再吸収を抑え,尿に余分な糖を捨ててしまうことにより血糖を下げます.まだ発売されたばかりですが,体重を減らす効果や,血糖をさげる作用が強く,膵臓にも負担をかけません.肥満傾向で若く糖尿病になってからの期間が短い患者さんにより適するとされています.


■この記事の配信元:久喜医院