2014/09/01 10:50:56

9月号 高血圧の飲み薬について



■血圧を下げるために大切なことはまず減塩・体重コントロールなどの生活習慣の改善です。生活療法の効果が不十分な場合や臓器障害が進んでいる場合は薬が必要となります。今回は主な降圧薬についてお話します。


■カルシウム拮抗薬(商品名:ジヒドロピリジン系 アムロジン、アダラート、コニールなど、ベンゾジアゼピン系 ヘルベッサーなど)

血管の平滑筋細胞はカルシウムイオンが細胞内に入ると収縮ます。平滑筋の収縮により血管内腔が狭くなるため血圧が上がります。カルシウムイオンの通り道を塞ぐことで血管を開き血圧を下げるのがこの薬です。血圧を下げる効果が強く副作用が少なく値段も安いため日本では良く使われます。副作用としては動悸、頭痛、顔のほてり、むくみ、歯肉の肥厚などがあります。ジヒドロピリジン系のカルシウム拮抗薬ではグレープフルーツを摂らないようにしましょう。どうしてもグレープフルーツを食べたい場合はご相談ください。

■アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬(商品名:レニベース、タナトリルなど)・アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ABB)(商品名:ディオバン、ミカルディスなど)

アンギオテンシンⅡは血管を収縮させたり腎臓における水やナトリウムの排出をおさえたりすることにより血圧を上げます。ACE阻害薬はアンギオテンシンⅡの産生を抑える、ARBはアンギオテンシンⅡが受容体に結合し活性化するのを妨げることで血管を開き血圧を下げます。ともに心臓や腎臓を保護しインスリンの効きを良くする働きも持っています。催奇形性があるので妊婦には使えません。副作用としては、ACE阻害薬では空咳、両薬剤ともに、血管浮腫、腎機能障害などがあります。


■利尿薬

腎臓でのナトリウムや水の排泄を増やすことにより血圧を下げます。量を増やすと、尿酸や脂質、血糖を上昇させるなどの副作用が出やすいため少量で使います。


■ベータ遮断薬(商品名:テノーミン、アロチノロールなど)

働き過ぎの心臓を休め、心拍数を減らすことにより血圧を下げます。副作用としては、徐脈、心不全の悪化、喘息発作などがあります。


■アルファ遮断薬(商品名:カルデナリンなど)

交感神経による血管の収縮を抑え血圧を下げます。糖や脂質を改善させる作用もあります。副作用としては起立性低血圧があります。


カルシウム拮抗薬とARB、ARBと利尿薬などは組み合わせると効果が増して副作用が軽減させるため、2種類の薬の成分を合わせて1錠にした配合剤が作られています。

■この記事の配信元:久喜医院