2014/11/01 09:40:46

11月号 C型肝炎と肝がんについて


日本では年間3万人以上もの人が肝がんで亡くなっています.肝がんの80%はC型肝炎が原因です.C型肝炎を早期に発見しきちん検査・治療することにより肝がんを大幅に減らすことができます.


■C型肝炎の症状・検査

C型肝炎特有の自覚症状はないといってもいいでしょう.慢性肝炎はもちろんのこと肝硬変や肝がんを発症していても初期にはほとんど症状がない方が多く見受けられます.いままでにHCV抗体検査を受けたことがないのであれば,まず血液でC型肝炎に感染しているかどうかを調べてみましょう.県の補助により無料で検査が受けられます.


■C型肝炎と肝がん

C型肝炎に感染してから肝がんを発症するまでには,慢性肝炎から肝硬変を経てということで30年以上もかかるといわれてきました.しかし最近になり,特にご高齢の方では,肝硬変に至っていない慢性肝炎の状態で肝がんがしばしば見つかるようになり,注意が必要とされています.


■肝がんを早期発見するために

肝がんを早く見つけるためには定期的な検査が必要です.C型肝炎と診断されている方はたとえGOT,GPTなどの肝機能が正常であっても主治医の指示に従い腫瘍マーカーや腹部超音波検査(エコー)を含む検査を受けましょう.


■C型肝炎はほぼ治る時代に

肝がんを防ぐにはC型肝炎を治すのが最も効果的です.インターフェロンと飲み薬を組み合わせた治療で9割の人がC型肝炎ウイルスを身体から追い出すことができます.また,インターフェロンが効かない・使えない人には飲み薬だけの根治治療もおこなえるようになりました.

C型肝炎はほぼ100%治る時代になりました.もう歳だからとあきらめずに,まずはご相談ください.ただし,治療がうまくいった場合でも,肝がんになる確率は大きく減るもののゼロにはならないために定期検査は必要となります.


■最後に,感染予防のために

 食器の共有や入浴など日常生活では感染することはありませんが,カミソリや歯ブラシなど血液が付着しやすいものを共有するのは避けましょう.また,血液が付着したものは自分で始末するか手袋をはめて片付けましょう


■この記事の配信元:久喜医院