2014/12/02 15:10:01

12月号 高齢者の肺炎予防について



肺炎は、がん、心疾患についで日本人の死因の第3位を占め、亡くなる方の10人に1人、年に12万人もの方が肺炎で命を落としているのです。肺炎で亡くなる方の95%は65歳以上です。


■なぜ高齢者では肺炎が命取りになりやすいのか

高齢者肺炎の特徴としては、咳や痰、発熱などの典型的な症状を示すとは限らないこと、肺気腫や糖尿病、心臓病や腎臓病など他の疾患を持っていることが多く重症化しやすいこと、薬の副作用が出やすいこと、再発しやすいことがあげられます。つまり見つけることも治すことも難しいのです。


■肺炎を予防するために日頃から気をつけること

肺炎を予防するためには、まずうがいや手洗いをしっかり行いましょう。適度な量で主食・主菜・副菜のバランスがとれた食事や運動習慣により病気になりにくい身体づくりふだんからを心がけること、禁煙すること、喘息や肺気腫などの呼吸器系の病気のみならず、高血圧や糖尿病、心臓病や腎臓病などの慢性疾患をできるだけ良い状態に保っておくことはとても大切です。


■肺炎の一因となる誤嚥を防ぐために

食べ物や飲み物、唾液などが気管や肺に入ってしまう誤嚥は肺炎の大きな原因となるため、口の中を清潔に保つこと、むせやすい方は飲み込みやすいようにトロミをつける、食事時の姿勢に配慮する、ゆっくり少しずつ食べるなどの工夫が大切です。


■肺炎球菌ワクチンによる肺炎予防

肺炎の原因菌の多くを占める肺炎球菌は、最近、抗生物質が効きにくい耐性菌が増えて問題になっています。

予防や重症化を防ぐためには肺炎球菌ワクチンが有効です。今年の10月から定期接種として、65歳になる年度には補助金が出て安価で接種できるようになりました。すでに65歳を過ぎてしまった方に対しては、今後5年間に限ってですが、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳になる節目の年に補助金を受けて接種することができます。(100歳以上の方はすべて今年度) ただし過去に肺炎球菌ワクチンを接種したことがある人は補助金の対象になりません。

肺炎球菌ワクチンの効果は5年以上期待できます。肺炎球菌ワクチン接種により肺炎による死亡が減少することが分かっています。ぜひこの機会に接種しておきましょう。

あわせて毎年インフルエンザワクチンを受けておくと肺炎予防により効果的です。


今年もお世話になりました
良いお年をお迎えください

■この記事の配信元:久喜医院